
■歯の再植・移植
虫歯が進行して抜かずに残すことが困難になった時、最後の選択肢として歯の再植や移植を行うことがあります。
再植とは一度抜歯してから原因を取り除いて再び植え直すこと。そして移植とはやむを得ず抜いた歯の抜歯窩に、使っていない親知らずなどを移し替えることです。成功率は約7割ですので必ずしも成功するとは限りませんが、最終手段として有効な方策と思われます。
《症例1.》

骨(ピンク矢印)まで虫歯が進行しており、また歯根の先(黄色矢印)には膿が溜まっています。通常は「抜歯」となる状況です。
約2㎜浮かした状態で再植を行いました。1年間は仮歯を装着して経過を見ます。

再植1年後、新生骨(黄色矢印)が認められます。ぐらつきもなく成功と判定しました。今後は仮歯を外して本歯を入れます。また右側に写っている虫歯になっている親知らずはお役目御免で抜歯予定。
《症例2.》
6年前にA歯科医院で虫歯が悪化して神経を抜いてもらい、4年前に痛みが再発したため再治療、一時は治まったものの本年再々発、B歯科医院で治療のやり替えを受けているものの痛みとぐらつきが続くので転院して来られました。B歯科医院の担当医からは根管が詰まっていて治療が困難と説明を受けているそうです。

根管が詰まっている(ピンク矢印)場所と膿が溜まっている(黄色矢印)場所が問題点です。
再根管治療の成功率は60%、再々根管治療の成功率は更に低下しますので再植を行いました。前医の熱心な治療の痕が窺われた症例でしたが、奏功が認められませんでしたので患者さんには成功率70%の再植を選択して頂きました。
歯根先端部を約4㎜カットし、1㎜浮かせた状態で再植しました。1年後のX腺で新生骨(黄色矢印)を認めたため成功と判定しました。痛みとぐらつきはありません。
《症例3.》
このケースも複数の歯科医院で何度も根管の治療を受けていましたが、長きに渡り頬側の歯肉のおできが消えず、時々疼くという難症例です。

根管は閉塞(ピンク矢印)していて、根の先端部周囲に膿が溜まっています(黄色矢印)。根先端を約3㎜カットして再植しました。

仮歯を装着して1年半後、新生骨(黄色矢印)が確認できました。痛み・腫れの再発はありませんでしたので成功と判定しました。
その他、歯が縦方向に割れてしまったケースなども受傷直後でしたら歯科用接着剤で固定した後に再植が可能な場合もあります。何かの際には九段ブルー歯科へお問い合わせ下さい。

